清酒
【製造工程関連】
酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)
清酒はお米から造られますが、いろんな種類のお米がある中で、酒造りに適した米があります。酒造りにとって良い米とは、タンパク質が少なく、精米中にくだけにくいお米。タンパク質は麹の酵素で分解されてアミノ酸になり、お酒の雑味のモトになってしまうからです。
この条件を満たす特別な米が「酒造好適米」。農水省が認定した清酒造り専用の品種です。
ふつうの飯米に比べて粒が大きく、中心に「心白(しんぱく)」という白く濁ったデンプンの塊があるのが特徴です。心白はデンプン質が粗くやわらかいため白く見え、タンパク質も少ない部分です。
現在、酒造好適米の品種は、全国に約50数種を数えます。「山田錦」「五百万石」「美山錦」などがその代表格。こうした酒造好適米は栽培が難しいため値段も高く、一般的には吟醸酒などの高級酒に主に使われています。
こうした酒造好適米が持つ優れた品種特性は、高度な栽培技術があって初めて発揮されます。
精米(せいまい)・精米歩合(せいまいぶあい)
精米とは、玄米の外側を削って白米にする作業のこと。お米を「磨く」ともいいます。
どの程度精米したかは「精米歩合」で表されます。たとえば精米歩合70%なら玄米の外側の3割を削ったことになります。50%ならちょうど玄米が半分の大きさになるまで精米したことを表します。
お米の表皮の近くには、タンパク質や脂肪分、灰分など、お酒の風味を悪くする成分があり、一般的に、米を精米すればするほど良いお酒ができると言われています。
しかし、精米歩合だけを見て、酒のグレードを推し量るのは早計です。もともとのお米にタンパク質が多かったり、砕けやすかったりした場合、お酒の良さにつながる精米効果は低くなるからです。
軟水(なんすい)・硬水(こうすい)
日本酒の80%は水。つまり水の良し悪しは日本酒にとっての生命線です。
水にはミネラル分が多い「硬水」とミネラル分が少ない「軟水」があります。日本の水は軟水ですが、その中でも「硬水」と「軟水」に分類され、生まれるお酒の味わいに影響を及ぼします。
一般的に「硬水」で仕込んだお酒は、辛口で酸度の高い濃醇タイプになりやすく、「軟水」で仕込んだお酒は甘口で酸度の低い淡麗タイプになりやすいと言われています。
麹(こうじ)
日本酒造りの特徴の一つは、黄麹といわれるカビを利用して、米のデンプンを酵母が食べられるブドウ糖に分解することにあります。
蒸した白米に、麹カビの胞子を撒き、2昼夜かけて麹カビをはやしたものが「麹(こうじ)」・「米麹(こめこうじ)」です。また、麹を造る作業を「製麹(せいぎく)」と言います。
「一麹、ニ酛、三造り」と言われるように、麹造りは、今も昔も大切な工程です。それは麹が造りだす「酵素」がお酒の味に大きく関係してくるから。お米のデンプンをブドウ糖に変えるアミラーゼを始め、麹が造り出す酵素がさまざまに影響しあって、お酒の微妙な味わいを生みだすのです。
掛米(かけまい)
日本酒の仕込みは、麹と掛米と水で行われます。
麹造りに使用するお米を「麹米(こうじまい)」、麹米にしない蒸しただけの米を「掛米(かけまい)」といいます。
「掛米」は醪(もろみ)を増量していくときに使われ、「麹米」と同じものが使われるときもあれば、精米歩合や品種の違うお米が使われることもあります。
酵母(こうぼ)
糖分を食べてアルコールをつくり出す役割をする微生物です。日本酒やビール、ワイン、パンにはそれぞれ異なった種類の酵母が使用されます。
日本酒造りに使用される「清酒酵母」は、麹が作ったブドウ糖を、アルコールと炭酸ガスに分解します。
清酒酵母の中で優秀な酵母は「協会酵母」として日本醸造協会から全国の蔵元に販売されています。
酒母(しゅぼ)/酛(モト)
酵母を大量に培養するために造られるものを、「酒母」あるいは「酛(モト)」といいます。空気中に浮遊しているさまざまな微生物の影響を、乳酸の酸で防ぎながら、必要な酵母菌だけを大量に繁殖培養させる重要な工程です。
日本酒造りに独特のもので、文字通り酒の母ともいうべき存在。
酒母の造り方には、乳酸の由来によって「速醸酛(そくじょうもと)」「生酛(きもと)」などのいくつかの手法があります。
速醸酛(そくじょうもと)・生酛(きもと)・山廃酛(やまはいもと)
酵母を大量に培養するために造られる「酒母」あるいは「酛(モト)」。この酛を造るときにポイントとなるのが、雑菌に弱い酵母をガードしてくれる乳酸です。この乳酸の由来によって「速醸系モト」と「生酛系モト」にわかれます。
●速醸酛(そくじょうもと)
酒母を造るとき、麹・掛米・水のほかに、市販の純度の高い醸造乳酸を加えます。明治43年に考案され、安定した品質のモトを造ることができるため、現在、広く使われています。淡麗型のお酒になります。
●生酛(きもと)
乳酸が自然の乳酸菌から生まれてるのを待つ、昔ながらの方法。 室町時代から受け継がれてきた方法で、半切り桶という平べったい桶に、麹、蒸し米、水を加え、櫂棒ですりつぶす「モト擦り」を行います。
ここでは硝酸還元菌や乳酸菌など微生物が入れ替わり立ち替わり増殖・絶滅していき、最後に酵母だけが生きられる乳酸の海の中で、酵母が爆発的に増殖します。
速醸酛が2週間ほどでできあがるのに比べ、生酛の完成には30日近くを要します。温度管理などコントロールが難しく、高度な酒造りの技が必要とされます。各種の微生物が作り出す複雑な香味が加わって、濃醇でコシの強いお酒になります。
●山廃酛
生酛系モトの一種です。麹と蒸し米を櫂ですりつぶす「モト擦り」(「山卸(やまおろし))が行われますが、麹の酵素が米を溶かす事実がわかり、とても重労働であったこの作業を省略したものです。「山卸」を「廃止」したので「山廃」という次第。
現在では生酛系のモトは、「山廃」が多くを占めるようになっています。やはり濃醇型のお酒になります。
段仕込み(だんじこみ)
日本酒の仕込みは、酒母に麹を加えたものに、掛米と水を3回にわけて投入していく「三段仕込み」が基本です。
これは先人たちが編み出した日本酒独特の技で、原料の量を三段階にわけて徐々に増やすことで、安全な発酵を促すのです。
「三段仕込み」のバリエーションとして、甘さを補充するための「四段仕込み」や、軟水で辛口の酒を造るための「二段仕込み」などがあります。
醪(もろみ)
原料がすべて投入され、仕込みが終わった状態のものを「醪(もろみ)」といいます。これからいよいよ発酵が始まります。
三段仕込みの最後(三段目)の仕込みをした日を1日目として、搾るまでの発酵期間を「醪日数」といいます。20日から30日ほど発酵させるため、「20日モロミ」や「30日モロミ」と言います。
上槽(じょうそう)
発酵を終えた醪(もろみ)は、搾られて、澄んだ酒と酒粕にわけられます。その搾る作業のことを、「上槽」といいます。
お酒をいつ搾るか、特に大吟醸などでは上槽のタイミングは重要で、長年の勘と科学的な分析を組み合わせて決定されます。
上槽の方法は、効率よく搾ることのできる「連続上槽機」や伝統的な「槽(ふね)」で行うのが一般的です。
鑑評会出品酒など最高の大吟醸は「袋取り(ふくろどり)/袋吊り(ふくろづり)」で搾られます。これは酒袋という目の粗い化繊の袋にモロミを入れて吊し、自然圧でしたたり落ちるお酒の雫だけを集める方法です。
あらばしり・中取り(なかどり)/中汲み(なかぐみ)・責め(せめ)
伝統的な「槽」や「袋取り」の手法で搾るとき、搾られ出てくるお酒の状態には順序と特徴があり、それぞれ名前がつけられています。
・あらばしり
最初に出てくるお酒は薄く濁っていて、これを「あらばしり」といいます。「あらばしり」はワイルドな味ですが、そのぶん、香り華やかでフレッシュ感のある味わいを楽しめます。
・中取り/中汲み
「あらばしり」が出おわると、透明なお酒が出始めます。この透明な部分を「中取り」といい、香味のバランスにすぐれています。鑑評会出品酒は、この部分だけを取り出し、出品されます。
・責め
「中取り」が出おわると、今度は圧力をかけてお酒を絞り出します。この圧力をかけて搾ることを「責め」といい、そうして出てくるお酒も「責め」と呼ばれます。雑味の多い部分です。
ふつうのお酒は、これら「あらばしり」「中取り」「責め」が混ざりあっています。
酒粕(さけかす)・粕歩合
醪(もろみ)を搾り終わったあと、圧搾機に残る固形の部分が、酒粕です。
同じ量の原料米で仕込んでも、上級酒ほど酒粕の割合が増えます。その酒粕の割合を「粕歩合」といいます。
津上のお酒は使った原料米の20%程度が酒粕になりますが、大吟醸は50%以上にもなります。
酒粕は、奈良漬けや甘酒に利用されるほか、焼酎の原料として使用されたりします。酒粕には若干のアルコール分や、ビタミンなどの豊富な栄養分があるため、健康食品として見直されています。
火入れ(ひいれ)
パスツールがワインの腐造防止に「低温殺菌法」を考えたのは、19世紀半ばのこと。日本酒の世界では、それより約300年も前から「火入れ」という低温殺菌が行われてきました。これによって発酵を止め、雑菌を殺し、香味を保つのです。
濾過が終了したお酒には、まだ麹から溶け出した酵素や、若干の微生物が残っています。それらは時間がたつと風味を悪くするため、60度~65度にお酒を温め、残存酵素を破壊し、微生物を殺菌したうえで、密封貯蔵します。
通常はこうしてタンクに貯蔵したあと、お酒が外気にふれる瓶詰めの際に、もう1回行われます。
生酒(なまざけ)・生詰め酒(なまづめしゅ)・生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)
ふつう清酒は、雑菌を殺し、発酵を止め、香味を保つために「火入れ(ひいれ)」という低温殺菌が2度行われます。この「火入れ」をいっさい行わないお酒が「生酒」です。冷蔵技術が飛躍的に進化した現在、火入れを行わなくとも、低温貯蔵することでお酒の風味が悪くなるのを防げるようになったのです。
「生」のつくお酒には「生酒」「生詰め」「生貯蔵」がありますが、その違いをご説明。
・生酒
いっさいの火入れを行わないお酒です。「本生(ほんなま)」「生々(なまなま)」とも呼ばれ、フレッシュな風味が魅力的なお酒です。〈初しぼり〉や〈夏の生酒〉がこれにあたります。
・生詰め
貯蔵前に一度だけ火入れします。いったん火入れをしてタンクに貯蔵したお酒を、瓶詰め前の火入れを行わず生のまま詰めるから「生詰め」。夏の間に寝かせて熟成させ、秋口にその風味を楽しむ〈ひやおろし〉として出荷されます。〈ひやおろし〉の出荷は江戸時代から秋の風物詩でした。
・生貯蔵酒
お酒を生のまま貯蔵し、瓶詰め直前にいちどだけ火入れします。略して「生貯(なまちょ)」とも呼ばれます。

割水(わりみず)
清酒は醸造酒の中では、世界でもっとも高いアルコール度数になります。ときに原酒で20度を超えることもあります。そのためふつうの清酒は、アルコール分を規定の濃度にするために、瓶詰めの直前に水が加えられます。これを「割水(わりみず)」といいます。
「原酒」と表記のあるものは、この割水がされていないお酒です。物資が不足していた戦中・戦後には「割水」の多いお酒が出回り、金魚が泳げるような薄い酒という意味で「金魚酒」と揶揄されていました。
【ラベルの表示関連】
大吟醸酒(だいぎんじょうしゅ)・純米大吟醸(じゅんまいだいぎんじょうしゅ)
蔵元の最高の技術で醸した日本酒の工芸品。原料米を50%いかに精米し、香りが高くなる特別な酵母を用いて、低温でゆっくり発酵させた日本酒です。
大吟醸酒は、発酵が終了したモロミを搾る直前に醸造アルコール(95度換算)を原料米の重量の10%以内で加え、香りを引き立て、軽快な味わいにしたもの。
純米大吟醸酒は、醸造アルコールを加えません。香り穏やかで、深い味わいのお酒です。
吟醸酒(ぎんじょうしゅ)・純米吟醸(じゅんまいぎんじょうしゅ)
60%以下に精米した原料米を用い、大吟醸酒や純米大吟醸酒に準ずる造り方をします。
醸造アルコールを添加したものが吟醸酒、しないものが純米吟醸酒です。
香りの華やかさや味わいのキメの細やかさは、大吟醸酒や純米大吟醸酒には及びませんが、蔵元の個性が感じられる少し贅沢なお酒です。
純米酒(じゅんまいしゅ)・特別純米酒(とくべつじゅんまいしゅ)
文字どおり、米と米麹と水だけで醸した日本酒の原点ともいえるお酒です。添加物がいっさいないため、原料米の品種、酵母の選択などにより、軽快なタイプから濃厚なタイプまで、蔵元の個性がいちばん現れやすい日本酒といえます。
2004年に特定名称酒の基準が変わり、現在、純米酒には精米歩合の規定はありません。
特別純米酒は、60%以下まで精米した原料米を使用するなど、特別な造り方をした純米酒のことをいい、洗練された香味が魅力です。
本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)・特別本醸造酒(とくべつほんじょうぞうしゅ)
70%以下まで精米した原料米を用いて発酵させたあと、モロミを搾る前に醸造アルコールを加えて香味を整えた日本酒です。添加する醸造アルコールは原料米の重量の10%以内と定められています。
醸造アルコールで香味を調整しているため、すっきりした味わいが特徴です。
特別本醸造酒は、60%以下まで精米した原料米を使用するなど、特別な造り方をした純米酒のことをいい、本醸造酒に比べて洗練された香味が特徴です。
日本酒度(にほんしゅど)
日本酒の比重を表した数値です。比重の大きい酒は、エキス分が多いためマイナス側の数値が大きくなり、比重の小さい酒は、エキス分が少ないためプラスに傾きます。
ただし、糖分の種類による甘さの違いや、酸度の影響もあるため、同じ日本酒度のお酒が同じ程度の甘さとはいえません。
また、日本酒度での±3程度の範囲内での甘辛の判別は難しいため、あくまでも“目安”と考えたい数値です。
酸度(さんど)
日本酒中に含まれる有機酸類の総量を表した数値です。数値が高い、すなわち有機酸類が多く含まれていると、日本酒は濃醇で辛く感じ、少ない日本酒は淡麗で甘く感じます。
日本酒に含まれる有機酸類は、乳酸、リンゴ酸、コハク酸などで、この3つが全体の70%を占めています。乳酸やコハク酸の多いお酒はお燗に向き、リンゴ酸の多いお酒は冷やに向くと言われています。
アミノ酸度(あみのさんど)
蔵元の最高の技術で醸した日本酒の工芸品。原料米を50%いかに精米し、香りが高くなる特別な酵母を用いて、低温でゆっくり発酵させた日本酒です。
一般的には、アミノ酸度の高い酒は旨みが多い濃厚な味に感じ、アミノ酸度の低い酒は淡白に感じます。
製造年月日(せいぞうねんがっぴ)
製造年月日といっても、あくまでビン詰めされた年月が記されます。
新しいほど蔵出しの風味に近くなりますが、きちんと冷蔵管理されていれば、ある程度日がたっていても美味しく飲めます。
アルコール度数(あるこーるどすう)
清酒は世界でいちばんアルコール度数の高い醸造酒。原酒で20度を超えることもあります。
ふつうはこれに水を加えて、15~16度台に調整して出荷されます。水を加えないお酒は原酒として販売されますが、原酒によって度数は様々です。
一般的には度数が低くなるほど淡く感じられ、高いほど濃く感じます。
【その他】
寒造り(かんづくり)
江戸時代の中頃まで日本酒は、盛夏をのぞきほぼ一年中造られていました。しかし、醸造技術が未熟であったこともあり、暖かい季節には発酵途中の醪(もろみ)が腐敗してしまうことも多かったようです。
ふそれはつまり、貴重な米を大量に失うことも意味しました。そこで江戸幕府は「寒造り令」を発令。秋の彼岸から春の彼岸までしか酒造りを許さないというお触れを出しました。
特に気温がいちばん低く、微生物の活動も弱まる寒の頃に造られるお酒は、キメ細やかで風味も優れていたため、次第に「寒造り」が定着しました。
空調技術が発達した現在では、一年中酒造りをする蔵元も現れましたが、大吟醸などはもっとも寒い時期を選んで造られています。
清酒の季節性(せいしゅのきせつせい)
同じ清酒ならいつも同じ味というわけでもありません。清酒はワインよりも熟成が早く進み、その味わいは1年で変化します。
伝統的な清酒は、寒い冬の間に造られますが、その後、春、夏、秋、と1年をかけて熟成を重ね、季節ごとに味わいを深めていきます。とりわけ、暑気温の高い夏には熟成が急速に進み、味わいが大きく変化します。
だから同じお酒でも、しぼりたての春先と熟成した秋口とでは、味わいが大きく異なるのです。
こうした熟成による変化を、もっともよく伝えてくれるのが、旬の生酒・生詰酒シリーズです。初春のしぼりたて新酒〈初しぼり〉、夏に旬の〈夏の生酒〉、秋の生詰め〈ひやおろし〉、と、季節を追うのもお酒の楽しみの一つ。
ところで、よくできたもので、そのシーズンのお 酒の味わいは、旬の味覚と呼ばれている食材と、みごとにマッチ。お互いの美味しさを引き立て合う味の構成になっているから、不思議です。
冬に搾られたお酒は、1年を通して熟成し味を深めてゆきます。
杜氏(とうじ)
酒造りの技術をもった蔵人集団の長のことを「杜氏(とうじ)」といいます。杜氏は酒造りを統括する酒造技術者であると同時に、蔵微とのトップとしての管理能力も必要とされます。
というのも彼らは冬の酒造期に近隣の働き手を集めて、グループを編成し、酒蔵に出稼ぎにいく形をとるからです。
杜氏の出身地はある一定の地域に集中しており、出身地名をつけて「南部杜氏」「越後杜氏」「丹波杜氏」(三大杜氏)などと呼ばれています。
杜氏集団は江戸中期から明治にかけて成立し、集団ごとに独自の酒造りの流儀を継承しています。
後継者難が問題にされる最近では、その伝統技術を守るため、蔵元が社員として雇う例も増えています。
蔵人(くらびと)
杜氏に率いられて蔵元で酒造りをする職人たちの総称が「蔵人」です。
杜氏の補佐役である「頭(かしら)」、麹造りの責任者である「麹屋(こうじや)」(麹師・大師とも)、酒母の責任者である「モト屋」(モト師とも)を三役といいます。
そのほか、蒸米造りの責任者が「釜屋(かまや)」、雑用係の「追廻(おいまわし)」などがあり、役職により角界のような序列が決められています。
本格焼酎・泡盛
【製造工程関係】
黒麹(くろこうじ)・白麹(しろこうじ)
本格焼酎の特色は麹づくりにあります。焼酎の香りと風味の決め手となる麹。本格焼酎・泡盛は、温暖な地域で発達したため、この麹づくりには腐造防止となるクエン酸を出すユニークな麹菌を使用しています。
それが黒麹菌と、その変種の白麹菌。一般的には、沖縄の泡盛には黒麹菌が、その他の地域では白麹菌が使われています。黒麹は芳醇な風味を、白麹はソフトな風味を与えます。
かめ仕込み(かめじこみ)
タンクでの仕込みが主流になった今でも、九州・沖縄の一部の蔵に残る「かめ仕込み」。かめはモロミの対流に適していて、土に埋められたその温度が一定であるため、豊かでなめらかな風味を生みます。大きさはたいてい1~3石(1石=180L)。
単式蒸留(たんしきじょうりゅう)
本格焼酎は蒸留酒。モロミを沸騰させ、気化した酒精を抽出して造られます。
通常は、ポットスチル(単式蒸留機)を使い、1回しか蒸留を行いません。だから原料本来の豊かな風味と香りがそのままお酒になります。
常圧蒸留(じょうあつじょうりゅう)・減圧蒸留(げんあつじょうりゅう)
イモ焼酎や泡盛をのぞく多くの本格焼酎は、近年、蒸留するときに蒸留機内の圧力をさげて蒸留するのが主流になっています。最近の焼酎が、一昔前の焼酎よりソフトで飲みやすくなった、と言われるのは、この「減圧蒸留」によるもの。
一方、「常圧蒸留」は、この減圧をしない昔ながらの蒸留方法。モロミ成分がじゅうぶんに抽出されるため、原料由来の風味が活きるコクのあるタイプになります。長期熟成すると香味がアップするので、古酒などで使われる製法です。
花酒(はなさき)
蒸留する際に、初めて出てくるものを「初留(しょりゅう)」といい、アルコール分が高く、香りも豊か。
与那国島の泡盛の初留だけは「花酒(はなさき)」と呼ばれ、60度の原酒の販売は、与那国島にのみ許されています。
長期熟成酒(ちょうきじゅくせいしゅ)・古酒(くーす)
焼酎の中でも「3年以上、貯蔵・熟成されたもの」または「ブレンド後の総量の50%以上が3年以上、貯蔵・熟成されたもの」を、古酒と呼びます。
泡盛の場合は特に古酒(クース)と呼ばれ、昔から珍重されてきました。アルコール分の高い蒸留酒は、熟成するほどまろやかになります。
新酒(しんしゅ)
本格焼酎はたいて熟成させて出荷されますが、イモ焼酎だけは、収穫されたばかりのイモで造った新酒を秋に出荷します。
世界で唯一、新酒で飲んでおいしい蒸留酒が「いも焼酎の新酒」。もちろん秋の期間限定品です。
【原料別の特徴】
本格麦焼酎(ほんかくむぎじょうちゅう)
麦焼酎はその昔、元寇の折に中国から朝鮮半島経由で、壱岐に伝来したといわれます。その後、福岡県、大分県など北九州地方に普及していきました。麦焼酎には、米麹と麦で造る伝統的な「米・麦製」と、麦のみで造る「純麦製」があります。
本格米焼酎(ほんかくこめじょうちゅう)
熊本県人吉盆地・球磨地方で造られる米焼酎を、特に「球磨焼酎」と呼びます(コニャック地方のブランデーをコニャックと呼ぶのと似た感覚)。北九州の清酒造りの影響で、米麹と米で造られるようになり、江戸時代から「球磨焼酎」の名で親しまれてきました。清流・球磨川の水と良質の米、伝統の技が一体となり、良質な米焼酎が生まれます。
本格芋焼酎(ほんかくいもじょうちゅう)
芋焼酎は九州南部の鹿児島県や宮崎で主に生産されます。中でも焼酎王国・鹿児島県は、生産量・消費量ともに全国1位。その昔、米作りには適さない土地柄だったため栽培された甘薩(さつまいも)が原料となっています。甘薩の風味とソフトな甘さが魅力で、その特徴は原料となる芋を厳選する工程にも左右されます。
本格黒糖焼酎(ほんかくこくとうじょうちゅう)
「和製ラム」とも呼ばれる黒糖焼酎の原料はサトウキビ。サトウキビの茎を搾り、煮詰めてできた黒糖を、米麹を使い発酵させて蒸留して造られます。鹿児島県の奄美諸島のみに製造が許されている焼酎です。原料を同じくするラムに似た風味で、甘くやさしく芳醇な味わい。
本場泡盛(ほんばあわもり)
沖縄県だけに製造が許されている特産「泡盛」は焼酎のルーツと言われています。タイ米と黒麹を用いた米麹のみで仕込まれるのが特徴。3年以上熟成させたものは古酒(クース)と呼ばれ、貴重な風味として珍重されています。
本格そば焼酎(ほんかくそばじょうちゅう)
昭和48年に、宮崎県の雲海酒造で開発されました。しばらく宮城県の高千穂・五ヶ瀬、日之影など「奥日向三町」が主産地でしたが、近年では長野県など他県でも生産・販売されています。
粕醪取焼酎(かすもろみとりしょうちゅう)
酒粕を原料にした焼酎で、本州のみで造られています。酒粕を水にとかし、これに酒母を加えてもろみを造り、発酵・蒸留したもの。カストリ焼酎とは、醪(もろみ)を造って発酵させる点が違います。清酒メーカーで造られる焼酎に多いタイプです。
